フルボカー城に行ってきました!外壁を埋め尽くす「鹿の角」の謎

  • 先日、チェコで最もロマンチックと言われる「フルボカー城(Zámek Hluboká)」に行ってきました!

    白くてお姫様に出てきそうなめちゃくちゃ美しいお城なんですが……中庭に入ると、誰もが「えっ!?」と二度見してしまう景色が広がっています。

    そう、壁一面にズラリと並んだ「鹿の角(狩猟トロフィー)」です!!

    お城の優雅でロマンチックな雰囲気と、壁に埋め尽くされた無数の角……このギャップ、一体なんなの!?(笑)

    気になりすぎて徹底的に調べてみたら、この角には当時の貴族のドヤ顔事情と、お城の奥様エレノーラ夫人の凄まじい美意識(と夫婦の攻防?)が隠されていました!

    👑 ヨーロッパ一の美貌を誇る「美の絶対女王」エレノーラ夫人

    このフルボカー城を今のようなイギリス風ネオ・ゴシック様式に大改築したのが、当主のヤン・アドルフ2世と、その妻エレノーラ夫人(旧姓リヒテンシュタイン家)です。

    このエレノーラ夫人、当時のヨーロッパ社交界で「一番美しい」と称賛されるほどの卓越した美貌と知性、そして抜群のセンスを持つ女性でした!

    一方、旦那様のヤン・アドルフ2世も、広大な領地を経営する実業家・政治家としてめちゃくちゃ優秀でハンサムな男性。

    ……だったのですが、家庭内(特にお城のセンスやライフスタイル)においては、完全にエレノーラ夫人の圧倒的リーダーシップ(=ちょっと尻に敷かれ状態)だったのが目に見えるようなエピソードばかりなのです(笑)。

    🏰 「古くて住みにくい本居城」から「理想のメイン居城」へ!

    実は改築前のフルボカー城は、たまに立ち寄る程度の古いお城に過ぎませんでした。

    当時のシュヴァルツェンベルク家の本拠地といえば有名なチェスキー・クルムロフ城だったのですが、あちらは中世の要塞で寒く、19世紀のモダンで快適な暮らしには不向きで、当時はほぼ住んでいませんでした。

    そこで「自分たちの快適で最高にエレガントな『新しい本居城(メインの住まい)』を作ろう!」と立ち上がったのがエレノーラ夫人です。

    1838年、イギリスのヴィクトリア女王の戴冠式に出席してウィンザー城に魅せられた夫人は、「ボヘミアに、こんな素敵な英国風のお城を作りましょうよ!」と提案。旦那様は莫大な財力を惜しみなく投入して、約30年におよぶ大改築を全面バックアップしました!

    (ちなみに改築スタート当時、長男のアドルフ・ヨセフは8歳〜10歳のやんちゃ盛り!お母さんの凄まじいこだわりによって実家がどんどんハイパーなお城へ変貌していく様子をリアルタイムで見て育ち、のちに第8代当主としてこの最高の居城を受け継ぎました)

    お部屋のテーマから特注の木彫り家具、天井装飾、壁紙にいたるまで、インテリアの決定権は100%エレノーラ夫人。

    ……そして、その中で生まれたのが、あの「鹿の角を室内におかないルール」でした(笑)。

    🦌 男のこだわり(角)は外壁でガマン!?夫婦の着地点

    南ボヘミアの広大な森や池を治めるシュヴァルツェンベルク家にとって、狩猟は大のお気に入りであり、同時に「どれだけ立派な角をゲットしたか=一族の権力と富の象徴」という男のドヤ要素でした。

    男としては、仕留めた立派な角をお城の中に誇らしげに飾りたい……!

    しかし、ヨーロッパ屈指の美意識を持つエレノーラ夫人にとっては、室内のエレガントな世界観が命。 「私の美しいお部屋に、そんな生々しくてイカつい角を並べるなんて絶対にあり得ませんッ!!」

    ……というわけで、妻の強い美意識に押し切られた男たちの狩猟トロフィーは、「外壁(中庭)に飾る」という形で決着がついたのです(笑)。

    🎨 外壁に追い出されても妥協しない「エレノーラ流」の美意識

    ここからがエレノーラ夫人の本当にすごいところで、ただ外に放り投げたわけではありません!

    • 本物の剥製はNG!木彫りの美しい頭部を採用 生々しさを消すために、一流の職人に木彫りの鹿の頭を作らせ、その彫刻の上に本物の角を取り付けさせました。

    • 建物のデザインとして幾何学的に配置 適当に打ち付けるのではなく、白いネオ・ゴシック建築の格子に合わせて、まるで「壁のレリーフ模様」に見えるよう計算し尽くして配置させました。

    さらに、シュヴァルツェンベルク家はすぐ近くに「オフラダ城」という狩猟専用のお城を別で持っていたため、生々しいコレクションはそっちに集約。ここフルボカー城は「最高に洗練された本居城&レセプション(迎賓館)」として徹底的にブランディングしたのです。

    妻の美学を心から愛し、その夢を叶えてあげた男前で優しい旦那様と、自分の美意識を貫き通したエレノーラ夫人。二人の絶妙な夫婦関係があったからこそ、この奇跡のお城が完成したんですね。

    ここまで「ボヘミアの新しい本居城(メインの住まい)」として愛されたフルボカー城ですが、ここで一つの疑問が浮かびます。

    「チェコの冬ってマイナス10度とかになるけど、しかもこの森の中、寒すぎない?」

    そう、南ボヘミアの冬は極寒です! しかし、そこは超大富豪のシュヴァルツェンベルク家。彼らの解決策はいたってシンプルでした。

    「冬は寒すぎるから、暖かくて華やかなウィーンの宮殿へさっさと避難しよう♪」

    春から秋の気候が良い時期はフルボカー城で狩猟や豪華なパーティーを楽しみ、極寒の冬になると首都ウィーンにある「シュヴァルツェンベルク宮殿」へお引っ越ししてオペラや夜会を楽しむ……という超・優雅なライフスタイルを送っていたのです。

    「本居城」とはいえ、寒さを我慢して住むなんて野暮なことはしない。スケールが違いすぎ(笑)。



    素敵なお城




    よく見ると、、鹿のツノ。。






    何と今では鹿のツノは
    ライトアップの照明の台になってます。笑


    いつきても美しいお城です♪




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